2023年10月19日に発売されたBose QuietComfort Ultra Earbudsをご紹介したいと思います。
すでに様々なレビュー記事やYouTube動画が上がっており、気になっている方はすでに色々見られているとは思いますが、オーディオ系のレビューというのはどうしても主観的な感じ方の説明しかできず、独特な表現方法や専門用語がシレっとでてくるので、初心者には分かりづらく、モヤモヤしている方も多いのではないでしょうか。
本記事ではオーディオ初心者の筆者が素直な感想をお伝えし、購入を迷われている方にBose QuietComfort Ultra Earbudsがどんな使い勝手のイヤホンなのかが伝わるように解説したいと思います。購入の後押しになれば幸いです。
なお、本機はBose QuietComfort Earbuds IIの後継機にあたり、前作の時点で完成度は高いにも関わらず値段が現在かなり下がっているため、最新機種にこだわりがなければお買得です。
BOSE QuietComfort Ultra Earbuds 概要
スペック
- イヤホン寸法: 高さ1.72cm、幅3.05cm、奥行き2.24cm、重さ6.24g。
- 充電ケース寸法: 高さ5.94cm、幅6.63cm、奥行き2.67cm、重さ59.8g。
- USBケーブルの長さ: 30cm。
- 接続性: Bose Musicアプリを介してiOSまたはAndroidデバイスと接続可能。SimpleSyncを使用して他のBoseデバイスとも連携可能。
- 音質調整: Bose Music companionアプリのイコライザーを通じて音質を調整可能。Bose Immersive Audio搭載。
- 再生時間: 一回の充電で最大6時間の再生が可能で、ケースで追加3回充電できます(合計24時間)。
- 価格: 日本では定価が¥39,600、アメリカでは$299です。
- 対応コーデック: SBC / AAC / aptX Adaptive
デザイン
パッケージ
Apple製品のようなパッケージのプレミア感がはなく、パッケージは厚紙でケースを囲っているだけで、ちょっと安物感が出てます。所有欲が満たされない感じがします。キレイに残しておけるかは不安です。
外装から引き出すとこんな感じです。
中箱のフタを開けるといよいよご対面です。
本体と、上のトレーを取りだすと、下にはイヤーチップセットとType-A-Cケーブルが格納されています。
デフォルトでMサイズが取り付けられており、SサイズとLサイズが付属しています。
本体
前作との違いは”BOSE”のロゴがシルバーになったことぐらいです。ケースのカバーもQuietComfort Earbuds Ⅱと同じ物が流用できます。裏面のボタンはペアリング開始やリセット時に使います。
後ろにはType-Cポートが一つあるだけです。
フタを開けるとイヤホンが鎮座しています。こちらもQCEⅡと同じです。
BOSE QuietComfort Ultra Earbuds の特徴
ノイズキャンセリング技術の優れた性能
BOSE QuietComfort Ultra Earbudsのノイズキャンセリングを目当てで検討されている方が多いのではないでしょうか。
前作 QuietComfort Earbuds Ⅱの時点でノイズキャンセリング界のトップオブトップだったのですが、今作は発売された時点においても他の追随を許しません。前作と比べてノイズキャンセルの強さは変わらないという意見も多いのですが、ホワイトノイズが低減されており、ノイズキャンセリングの質が良くなったような印象です。
ただ、過度な期待は禁物です。「ナギナギの実」よろしく完全な静寂が訪れるというわけではありません。ハードルを上げすぎると「あれ?ちょっと思ってたのと違うな・・・。」ということになりかねません。あくまで出ている音を小さくするだけなので、特に高い音は割りと聞こえて来ますし、近くで話されたら聞こえてしまいます。
ノイズキャンセリングを聞かせた上で音楽を流せば、外部の音は本当に消え失せますので、そこは期待して大丈夫です。特に電車の音なんて耳を凝らしても聞こえなくなります。AirPods Proで感動していた自分をあざ笑いたくなりました。
外音取り込み
割りと自然ですが、AirPods Proが自然過ぎたのでそれには劣るかな思います。ただ、性能としては普通に使える性能になっていますので、困ることは無いと思います。
外音を取り込むぐらいならイヤホンを外してしまう方も多いようですね。
音質
音質の特徴としては、言わずもがな、迫力のある重低音です。この良し悪しは好みに依るところが多いと思います。
私は元々AirPods Proを使っており、重低音が弱めで、ボーカルの声がよく聞こえるイヤホンに満足していたため、重低音の響く、いわゆる「ドンシャリ」が合うのか不安だったのですが、実際に聞いてみると、ボーカルの声もしっかり中央に据えられていて、ベース含めリズム隊がはっきり聞こえてくるような感覚でした。
特に分かりやすかったのが、Official髭男dismさんのミックスナッツという曲でした。全体に渡ってボーカルの声が大きく、楽器も細かく複雑なリズムを刻んでいるため、それぞれが何をしているのかAirPods Proだと、集中しないと聞き分けづらいのですが、QuietComfort Ultra Earbudsだと、それぞれの楽器の音が自然とくっきり別々に聞こえてきました。
食事で例えるなら、カレーライスをぐちゃぐちゃに混ぜてから食べた時と、スプーンの上にカレールーとライスの境目を残したまま食べた時の違いにイメージは似ていると思います。口には入るものは同じで咀嚼すれば結局混じるものの、ルーの部分とライスの部分を舌の上で感じるように、楽器の音がそれぞれ分離して聞こえてきます。
あと、イヤホンを装着すると「ぶわんっ」という音が再生され、内蔵のマイクが耳の中の音の伝わり方を分析・調節することで、バランスの取れたサウンドにチューニングします。これにより、BOSE QuietComfort Ultra Earbudsは、個々のユーザーに最適なサウンド体験を提供します。
この調整の効果がどう出ているのかは正直分からないのですが、謎技術で頑張ってくれていると信じてます。
空間オーディオ(独自開発のBose Immersive Audio機能)
空間オーディオ自体はAirPods Proでも使うことができましたが、Apple製品のみでしか設定できませんでした。Androidスマホと接続しても、一応、空間オーディオコンテンツ自体は再生できますが、イヤホン側の処理で全ての音声を疑似3D化することはできません。
BOSE QuietComfort Ultra EarbudsのBose Immersive Audioは、接続機器や音源の録音状態、再生サービスなどに関わらず、あらゆるコンテンツを立体的に再生できるとしています。これは、音源となるデジタルデータやプレーヤーの種類を問わず、音場を広げる効果があるということです。
ヘッドホンと比べるとイヤホンは音がどうしてもこもってしまうので、ヘッドホンとイヤホンをどちらにするか悩んでいる方は開放感を検討ポイントにする方も多いと思いますが、空間オーディオによってその閉塞感がなくなり、耳通り良く音楽を楽しむことができます。
空間オーディオをOFFの状態で音楽を聞いていると、頭の真ん中で音が鳴っているという感覚なのですが、空間オーディオをONにすると眼の前にスピーカーがあってそこから聞こえてくるような感覚になります。電車などで使うと、大袈裟ではなく「うっかりBT接続できてなくて、スマホから音を出してしまった」と焦ってしまうぐらい、開放感を感じることができます。
また、Bose Immersive Audioは”Still”と”Motion”の2つのモードがあります。”Still”モードは擬似的に音源位置が固定され、例えば顔の向き右に変えると、左側から音が聞こえるようになります。落ち着いて映画を観るようなときには”Still”モードにしておくと、まるで画面から音が出ているような体験ができます。
“Motion”モードは常に顔の正面に擬似的な音源位置があるように調整されます。移動中など、顔の向きが変わっても正面から音楽が聞こえてくるような体験になるので、音楽を聴くときは”Motion”モードにしておくと良いでしょう。
これらの機能により、BOSE QuietComfort Ultra Earbudsは単なるイヤホンを超えて、ユーザーを没入させる次元の音楽体験を可能にしています。これは、音楽をただ聴くだけでなく、音楽を体験するという新たな可能性を開くものです。それはまるで、音楽が周囲の空間を満たし、ユーザーがその中に存在するかのような感覚を生み出します。これこそが、BOSE QuietComfort Ultra Earbudsが提供する、真に革新的な音楽体験です。
通話性能(マイク品質)
正直、マイク性能については微妙かなという印象です。外部のノイズはある程度除去できている気がしますが、音声がデジタルっぽい、いかにも機械を通した音に聞こえます。(実際機械を通ってるので当たり前ですが。。)
オンライン会議など、通話機能を頻繁に使う方はAirPods Proの方が声質が自然で肉声に近く、印象も良いでしょう。ノイズ除去についてはSonyのWF-1000XM5が強くクリアに聞こえます。
本体操作方法
操作方法については、特別なことはとなく、「よくあるタッチ方法」です。この辺り統一されてるのか他にやりようが無いのか、わかりませんが、AirPods Proも同じ操作方法なので、覚えてしまえば使いやすいですね。
メディアの再生と音量調節
- 再生/一時停止
-
一回タップ
- 音量を上げる
-
上にスワイプ
- 音量を下げる
-
下にスワイプ
- 次の曲
-
ダブルタップ
- 前の曲
-
トリプルタップ
通話
- 着信に応答する
-
一回タップ
- 終話/着信拒否
-
ダブルタップ
ショートカット
長押しすることで、左右それぞれ個別にショートカット機能を割り当てる事ができます。
- モード切り替え(下記の項目をトグルする)
クワイエット(ノイズキャンセリングモード)
アウェア(外音取り込み)
イマーション(空間オーディオ)
カスタム(アプリからノイキャン強度など、最大7つのモードを設定可能) - 空間オーディオのモードを切り替え
オフ
移動(頭を動かしても仮想的なスピーカーの位置が固定される)
静止(頭を動かすと仮想的なスピーカーが常に正面にあるように感じる) - 音声コントロール(SiriやGoogleアシスタント)
初期不良について
左耳側にノイズが出る
これはAmazonのレビューや掲示板でもコメントされている方が多数いますが、左側だけ「ジリジリ」としたノイズや「ピッピッ」という電子音が聞こえる個体もあるようです。ファームウェアのアップデートで軽減されたり、リセットすることで治まったという報告もあります。
筆者も当初同じ現象が発生しましたが、BOSEの公式サポートに連絡したところ、すぐに交換対応していただけました。
公式サイトの修理・交換依頼はこちらです。
個人的な感想
個人的に良かったところ
装着感
手に入れてすぐウキウキして耳に乗せてみたところうまくハマらず、「失敗したかなぁ」と思いましたが、ひとつずつイヤーピースと安定性バンドを取り替えて試してみたところ、シンデレラフィットしてつけ心地の良い組み合わせを見つける事ができました。
3種類のイヤーピースだけでなく、3種類の安定性バンドとの組み合わせになるため、全部で9通りありますが、根気よく取っ替えひっかえ試せば、誰でもしっくり来るものがみつかるはずです。
サポート
一番びっくりしたのがサポート体勢でした。公式サポートというのはなかなかどうして、メールの返事が遅かったり、電話もなかなか繋がらないというのが世の常ですが、BOSEはすんなり交換対応ということになりました。
公式サイトでシリアルナンバーを入れ、症状を書いたら、そのまま次のページで「交換します」のページが表示され、直後、交換案内のメールが飛んできました。
また発送方法について不明点があったので、電話でも問い合わせをしてみたのですが、数秒待つと普通に繋がりました。
スムーズに事が運んで良かったです。これなら今後も安心してBOSE製品を購入できるなと思いました。
個人的に気になるところ
ワイヤレス充電非対応
充電ケースがワイヤレス充電非対応だったのは意外でした。前作QuietComfort EarbudsⅡで不評の声も多かったと思いますし、同価格帯のワイヤレスイヤホンの充電ケースはワイヤレス充電対応がスタンダードなので、今回対応すると思っていたのですが、なんと別売りのケース追加で対応との事でした。
本体定価¥39,600に対し、カバーの定価が¥7150というのも中なか強気です。。。
ただ、実売価格は定価よりもかなりお安く抑えられているのと、別途シリコンカバーが不要と考えれば良い選択かと思います。カバーの作り自体は単純なので、そのうち中華製の格安な互換アイテムがでてくるかもしれないですね。
ワイヤレス充電は非対応で問題なく、とりあえずカバーをつけたいだけであれば、前作と形状が変わらないため、選択肢は多くあります。
再生時間
同価格帯の製品よりも再生時間が短いのがちょっと気になるところです。公称時間はおそらくベストエフォートだと思いますし、そのうちバッテリーもヘタってくると思うので、ちょっと心配なところです。
売りである空間オーディオモードだと4時間ということで、長距離移動で使ったり、映画やドラマの一気見をしたいときにはちょっと心許ない気がします。まぁ、そんな長時間使うなら耳のためにも休憩した方がイイんでしょうけど。。
まとめ
さいごまでお読みいただきありがとうございます。
良かったポイント
- 優れたノイズキャンセリング技術: BOSE QuietComfort Ultra Earbudsは業界をリードするノイズキャンセリング技術を搭載し、外部の騒音から解放された高品質な音楽体験を提供します。
- パーソナライズドなサウンド体験: CustomTuneテクノロジーとアジャスタブルEQ機能により、ユーザーの耳の形や好みに合わせた最適なサウンドを提供し、個別の音楽体験を実現します。
- 洗練されたデザイン: スタイリッシュでモダンな外観と物理的なタッチコントロールが組み合わさり、使い勝手と見た目の魅力を両立させています。
気になるポイント
- 高価格帯: BOSE QuietComfort Ultra Earbudsは他の競合機種に比べて高価格帯に位置しており、一部のユーザーにとっては予算オーバーとなる可能性があります。しかし、セール時には大きく値が下がりやすい傾向にあります。
- 大きな充電ケース: 充電ケースが他のワイヤレスイヤホンよりもやや大きめです。
- ワイヤレス充電非対応:そのままではワイヤレス充電には対応していません。別途オプション購入が必要です。
前世代機も値下がりしており、お買い得です!!予算が厳しい方はこちらも検討してみてください。
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